がんの発生に深く関わるミトコンドリア

ミトコンドリアにおいて活性酸素が発生してしまうのはしょうがありません。しかし、あまりに大量に発生してしまうと、本来持っている酵素などの抗酸化力では追いつかず、周囲を酸化し傷つけてしまいます。

この時こわいのは、活性酸素がミトコンドリアの遺伝子を傷つけてしまうことです。ミトコンドリアの設計図である遺伝子に傷がつくと、正常なミトコンドリアが作れなくなってしまいます。するとさらにエネルギー生産に支障が起き、活性酸素の害はミトコンドリアの細胞を超えて、その周囲に及びます。

ここで一つ面白い話をします。ミトコンドリアの遺伝子はそのミトコンドリア独自のものなのです。一般的にいう遺伝子とはその人固有のものであり、60兆個あるという細胞一つ一つのほぼすべてに、同じ遺伝子情報が入っています。ところがミトコンドリアは、個人の遺伝子とは異なる遺伝子を持っているのです。まるで、ミトコンドリアだけが異なる生物であるかのように。。。

そしてミトコンドリアは、独自の遺伝子情報を持って細胞内で分裂し増殖します。もし活性酸素によって遺伝子に傷がつくと、変異した遺伝子を持ったミトコンドリアが分裂、増殖するので、細胞内は非常に危険な状態に陥ります。

こうして不完全でエネルギー生産がうまくいかないミトコンドリアでは、さらに活性酸素が発生し、周囲の細胞を傷つけます。この時、もしそのミトコンドリアが入っている細胞内の遺伝子を傷つけることになれば、その細胞をがん化させる可能性が出てくるのです。

さらにミトコンドリアの遺伝子は、その人固有の遺伝子より、発がん性のある特定の化学物質と結びつきやすいことがわかってきているようです。このことから、活性酸素の発生源であるミトコンドリアが、がんの発生と深い関係があることが指摘されているのです。

続く

 

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