ご存知の方もいらっしゃると思いますが、コラーゲンは、食べると消化のプロセスでいったんアミノ酸に分解されてしまいます。
コラーゲンは、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリンなどのアミノ酸がつながってできており、消化酵素でバラバラになると、今度は用途別のタンパク質の材料になります。再び同じコラーゲンになるかはわからないのです。また、コラーゲンを構成しているアミノ酸は種類が少ないため、コラーゲンの大量摂取は栄養のバランスを壊す恐れもあります。なので、コラーゲンを増やしたいからといって、コラーゲンを摂取する必要はなく、むしろいろいろなアミノ酸が含まれた肉、魚、大豆などをまんべんなく食べた方がいいようです。
そこで登場するのがケイ素。良い骨を作るためのコラーゲン(材料)、あるいはアミノ酸とカルシウム。これらをうまく接着させるのが、ケイ素なのです。ケイ素は、繊維質のコラーゲンとカルシウムを接着させ、骨密度を高めてくれるのです。
アメリカで行われたフラミンガム研究という大規模な地域コホート研究があります。地域コホート研究とは、特定の地域集団を対象に同じ調査を長期間に渡って続け、変化や特徴などをつかむことです。これはフラミンガムという地方都市で、住民を対象に1940年から行われた健康調査で、主に食生活による健康状態が調べられました。1970年代には、英米合同研究チームが、この研究に参加した人々の子供を対象にしたフラミンガム子孫研究をスタートさせ、食生活と健康状態が調べられました。
その中に、”食事に含まれるケイ素の量が骨密度に与える影響”が含まれており、その結果、男性や閉経前の女性では、ケイ素の摂取量が多いほど骨密度が高い(大腿骨頸部)ことが分かったのです。ケイ素摂取量が1日40mg以上のグループは、1日14mg以下のグループより、10%も骨密度が高いという結果になりました。また、食事におけるカルシウム摂取の違いによる骨密度の差は、最も多いグループと最も少ないグループで、わずか5%だったのです。
その結果を受けて、2004年4月には、「人体の骨の成長には、カルシウムだけだなくケイ素も必要であり、それによって質の高い骨になる」と発表されました。
ちなみにこの調査は、何十年にもわたって地域集団の健康を追跡し続けるという大規模なものであり、21世紀の今日も続けられているそうです。